こんにちは!マインドファクトリーのしいのです。
SEO対策においてポイントとなるのが「ユーザーファースト」の視点。なぜならば、それが国内の検索エンジンシェア率の大半を占めるGoogleの方針であり、Googleの方針に沿うことが即ち検索エンジンで上位表示されることにつながるからです。
以下の記事でも紹介したSEO対策のひとつ「E-E-A-T(旧E-A-T)」は、ユーザーにメリットをもたらすコンテンツを考える上での重要指標となっています。その内容をみると、いかにWebサイトにおける正確性や信頼性に重きが置かれているかがわかります。
今回のトピックは、その中でもより高い正確性や信頼性が必要とされるジャンルである「YMYL」について。YMYLとはどういうものなのか、E-E-A-TとYMYLの関係性、そして意識すべきSEO対策方法について解説していきます。
YMYL自体は特定のジャンルにはなりますが、その考え方や対策は、あらゆるWebサイトやコンテンツで大切にすべきものです。YMYL領域を扱っていないという方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
YMYLとは
YMYLとはYour Money or Your Lifeの頭文字を取った略語です。直訳すると「あなたのお金、あなたの生活」という意味になります。Googleが検索の評価基準をまとめた「検索品質評価ガイドライン」の項目のひとつです。
「あなたのお金、あなたの生活」とはつまり人の人生に関わるジャンルのことです。このジャンルで検索をかけた際に、誤った情報、あるいは悪意ある情報が上位表示されてしまうと、ユーザーが大きな被害を受ける可能性があります。だからこそYMYL領域ではGoogleが評価を厳格にしているのです。
具体的なYMYLのジャンル・トピック
Googleの品質評価ガイドラインでは、YMYLに該当するカテゴリやジャンルとして以下のものを挙げています。
- ニュース・時事問題
- 市民の権利・政治・法律
- 経済・財産
- ショッピング・買い物
- 健康と安全
- 人々の集団
- その他
1.ニュース・時事問題
国際的なイベントや出来事、災害、科学、テクノロジーなどが該当します。
例えば戦争、災害情報などは特に国民の生活に大きな影響を与えるだけに、万が一誤った情報が流布されると大きな混乱をきたし、場合によっては生命の危機に直結する可能性があります。
一方で芸能ニュースやスポーツなどエンタテイメント性の高いニュース等は、最新情報であってもYMYLに該当しない場合もあります。
2.市民の権利・政治・法律
選挙のことや政府機関に関すること、社会福祉サービス、法律問題などが該当します。
市民生活に密接に関わる事項が多いこのジャンルで誤った情報が流れた場合、権利上の不利益が生じる可能性が高いです。
3.経済・財産
投資や税金、ローン、銀行、保険などが該当します。
仮想通貨や個人投資への注目も高まっている昨今ですが、誤った投資の知識を発信してしまうと取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
4.ショッピング・買い物
商品・サービスの調査や購入に関する情報・サービスが該当します。
特にオンライン購入や決済、送金が可能なWebサイトは「経済・財産」の項目でも言及されており、人のお金を直接扱うことから、より厳格な取り扱いが必要となっています。
5.健康と安全
病気や病院、薬など医療に関する情報、緊急時の備え、活動の危険性などに関するアドバイスや情報を扱うページが該当します。
人の生命に関わるジャンルであるため、YMYLの中でも特に厳しく基準が設けられています。
化粧品など美容に関する情報もここに含まれます。美容品や健康食品の広告表現においても、薬機法に抵触している場合は罰則が与えられます。
6.人々の集団
人種や宗教、国籍などが該当します。人種や宗教は国境を跨ぐ事柄であり、誤った情報や配慮の足りない表現を発信することで、差別や争いに発展する可能性があります。またパーソナルな部分に触れるLGBT・ジェンダーの内容についてもデリケートな取り扱いが必要です。
7.その他
上で挙げたジャンル以外でも、大学選択や住宅情報、就職など、人生における重要な局面に関する情報はYMYLに該当します。
YMYL導入の背景にあった「WELQ」問題
「WELQ」は、かつて医療や健康に関する記事・コンテンツを膨大に掲載していた医療キュレーションサイトです。豊富な情報量が検索エンジンに高く評価され、どのような病気を検索しても検索上位にWELQが表示されるような状況となっていました。
しかしその実態は、専門知識のないライターが文字数とキーワードだけ指定されて書いた信憑性のない記事が量産されていたのです。それらの情報を信じたユーザーが健康被害を受けた事例が多発し、クレームも相次ぐようになりました。
WELQの問題点を強調する事例として、「肩こりは幽霊が原因だ」という記事があったことがよく取り上げられます。しかし極端にいえば、そのような主張をするWebサイトがあったとしても、「肩こり」で検索したときに100ページ目に表示されるようであれば誰も被害を受けないかもしれません。
大前提として、不確実なコンテンツによりユーザーの利便性を損なうことは問題です。しかしSEOの観点でいえば、その誤情報だらけのWebサイトが検索で上位表示されていた、そのことに大きな問題があるのです。
この問題を受け、Googleは厳格な対処を講じ、検索品質を向上させました。これが「ウェルクアップデート」と呼ばれる大きな変更です。
今では検索エンジンのアルゴリズムの特性を利用した悪質なサイトが上位表示されることのないように対処されています。Googleのアップデートは細かく行われているものの、一貫してYMYLジャンルのコンテンツには高い専門性と信頼性、権威性が求められています。
YMYLとE-E-A-Tの関係
YMYL領域のコンテンツを作成する際には、E-E-A-Tとの関係性を理解することが重要です。
E-E-A-TとはGoogleの検索品質評価ガイドラインに記載されているコンテンツ評価の基準のことで、「E:Experience(体験・経験)」「E:Expertise(専門性)」「A:Authoritativeness(権威性)」「T:Trust(信頼性)」の頭文字を取った言葉です。
E-E-A-TはすべてのWebサイトやコンテンツにおいて重要ですが、より正確性・信頼性を求められるYMYL領域では特に高い水準で満たすべき指標となります。
YMYLと新指標「E…Experience」の注意点
「SEO対策の重要指標「E-E-A-T(旧E-A-T)」のポイントはユーザー目線!」の記事でも書いた通り、「E:Experience(体験・経験)」は2022年12月に新しく加わった指標です。体験・経験が豊富なトピックを選ぶことで、よりコンテンツの信頼性に厚みを持たせることが可能となります。
しかし体験・経験というのはどうしても主観的な側面があります。YMYLの分野においては特に、体験・経験の内容が個人的なものに終始していないかということに注意する必要があります。
例えば執筆者がその分野の専門家であり、自身の体験・経験が専門的な知識の裏付けになるのであれば、それはユーザーにとってメリットのある内容となります。あるいは、ユーザーが納税申告書の記入に際して情報を求めているとします。「正しい記入方法が知りたい」ということであれば、会計分野の専門家によって作成されたコンテンツを求めるかもしれません。一方で、良い会計専門ソフトを探している場合は、さまざまなソフトを使用した体験・経験がレビューを投稿しているサイトが参考になることでしょう。
このように「体験・経験」の指標は、ユーザーの求める内容に応じてあり方を検討していく必要があります。
YMYL領域でE-E-A-Tを高めるSEO対策のポイント
最後に、YMYL領域でのSEO対策のポイントを紹介します。
情報の正確性を高める
コンテンツ制作者だけの一面的な意見を載せるのではなく、当事者に取材を実施したり、その分野における専門家の意見を記載するなど、情報の裏付けを行いましょう。それにより、第三者に対して情報の正確性を強調できます。
また商品等をおすすめする場合は、メリットだけではなくデメリットも掲載することで、公平で偏りのない情報であると判断されます。
専門家による執筆・監修
高度な専門性が求められる場合は、専門家に執筆を依頼する、あるいは監修を依頼することも必要です。
その際は、その専門家の社会的な認知や評価も重要となります。受賞歴や出版物、認定証などがあれば、できる限りサイト上で開示するようにしましょう。
一次情報の掲載
情報が事実であることの保証として、一次情報を掲載しましょう。一次情報は公的機関や専門家、企業からの公式発表に限定し、その旨を明記するようにしてください。その際にはもちろん引用・出典のルール遵守も必要です。
サイト情報の開示
企業情報や運営者情報を明記してください。ただ情報を載せるだけでなく、住所や連絡先、利用規約、カスタマーサポートなど詳細であればあるほどサイトへの信頼度が増します。
特にオンライン上で金銭を取り扱うECサイト等の場合は、連絡先を載せておくだけでなく、問題発生時のフォローアップ体制を整備し、それを公開しておくことが重要です。
被リンク・サイテーションの増加
外部からの良い評判を獲得することはE-E-A-Tを高めることにつながり、検索結果にも反映されます。特に権威性の高いサイトからの被リンクやサイテーションは影響が大きくなります。
定期的な更新と更新情報の掲載
常に正確性が求められるYMYLのジャンルでは、情報のアップデートも欠かせません。古い情報が掲載されていないかどうかを定期的に確認し、アップデート日時も公開するようにしてください。
まとめ
「YMYL領域では高い水準でのE-E-A-T対策が必要」。その言葉だけ聞くと何か特別に難しい対策が求められるようにも思えます。しかしユーザーの人生に関わるトピックを取り扱っているのであれば、それによって誰かが傷ついたり不利益を被ったりしないよう、より気を付けるのは当然の配慮です。
質の良いコンテンツをユーザーに届けたいという思いで、検索エンジンにもユーザーにも信頼されるコンテンツをつくっていきましょう。