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【連載 #1】SNS時代のファンマーケティング - ファンマーケティングとは?

【連載 #1】SNS時代のファンマーケティング ーファンマーケティングとは?ー

ファンマーケティングはSNS時代に合ったマーケティング方法として注目度が高まっています。そんなファンマーケティングの意味や手法を、三部の連載形式で紹介していきます。

第一弾となる今回は、「ファンマーケティングとは?」ということで、ファンマーケティングの基本知識を掘り下げます。単発プロモーションではなく長いスパンで愛着を醸成していくファンマーケティングは、一朝一夕に効果が見えづらいという側面があります。それだけに、なぜファンマーケティングが必要なのかという本質を理解しておくことは非常に重要です。

そもそもファンマーケティングとはどういうものなのか、SNSの持つ特性とファンマーケティングとの親和性などについて解説していきます。

ファンマーケティングとは

「ファンマーケティング」とは、特定の対象に対して強い愛着を持つ「ファン」の力に着目したマーケティング手法を指します。自社の商品やサービスのファンを増やし、中長期的な売上の拡大につなげていくことを目的としています。

「共感」「信頼」がファンマーケティングのカギ

「ファン」という言葉の従来のイメージは、芸能人やスポーツ選手などの「個人」に愛着を持ち応援する人、というものではないでしょうか。しかしビジネスにおけるファンは、人だけでなく、企業が提供する商品やサービス、そして企業の持つ世界観や背景にあるストーリーに共感し、企業を信頼する気持ちを持つ人のことを指します。

それゆえに、ファンマーケティングを進める企業自体も、共感されるストーリーや信頼される姿勢をしっかりと打ち出し、ブレなく進んでいくことが求められています。

ビジネスに「ファン」が大切な理由

ビジネスにおいて売上を拡大していくための施策は、大きく「新規顧客を獲得する」「既存顧客に複数回リピート購入してもらう」の2つに分けられます。ファンづくりは後者に大きく寄与するものです。

このことは、「売上の8割をつくるのは2割の顧客である」とするパレートの法則と大きく関係しています。つまり、新規顧客の獲得により顧客層の裾野を広げるよりも、既存顧客の中で複数回商品やサービスを利用してくれるリピーター、つまり「ファン」を育成する方が、中長期的な売上につながるということです。

パレートの法則

また、ものや情報が溢れかえっている現代において、価格や品質だけで競争するのは難しい部分も出てきています。企業やブランドそのものを好きになってもらうファンづくりは、他社との差別化を図る上でも重要な意味を持っています。

企業やブランドを愛し、長きに渡り購買し続け、さらに口コミにより新規顧客も連れてきてくれる、そんなファンの存在は企業の継続的な成長には欠かせません。顧客のファン化に力を入れる企業が多いのは、そのような理由があるためです。

SNS時代に広がりを見せるファンマーケティング

ファンマーケティングが近年注目を集める背景には、SNSの普及が深く関係しています。ここではSNSとファンマーケティングの親和性がなぜ高いか、大きく2つのポイントに絞って解説します。

ポイント1:ファンの自発的な発信が、他のユーザーの購買を後押しする

情報量が過多となっている現代において、ユーザーは「押し売り感」の出る広告を嫌い、自然発生的な口コミを重視する傾向にあります。

実際に以下の調査結果をみると、商品やサービスを知るきっかけでは「テレビCM」や「広告」が多いものの、購買において重要視する情報では「口コミ」が「テレビCM」や「広告」を上回っているのです。

調査元:https://service.aainc.co.jp/product/letro/article/ugc_purchase_impact_survey

また以下の調査結果では、ポジティブな口コミがユーザーの購買を大きく後押しすることが示されています。

調査元:https://service.aainc.co.jp/product/letro/article/ugc_purchase_impact_survey

このポジティブな口コミを生み出す存在こそ「ファン」です。ファンがWeb上にポジティブな口コミを投稿することは、広告だけではリーチが難しい層に対して効果的に働きかけ、購買の重要なきっかけとなっているのです。

SNSはこの点において非常に重要な役割を果たしています。もちろん口コミサイトやレビューサイトはSNS隆盛以前から存在していました。しかしSNSの普及は個人による情報発信のハードルを大きく下げ、それに伴いファンによる口コミの量も飛躍的に拡大していったのです。

さらにSNSのもう一つのポイントが、情報発信だけでなくユーザーの情報収集ツールとしての役割も担っている点にあります。特にZ世代などの若い世代においては、検索エンジンよりもSNSが情報収集の主流な手段となっています。

つまりSNS時代におけるファンは、「購入する」「口コミを発信する」「その口コミが新規顧客の獲得につながる」という好循環を生み出す存在であるといえます。

ポイント2:企業とユーザーの距離が縮まる

SNSの発展により、企業側がファンに発信する場も増えています。テレビCMなどのマスマーケティングと違い、しっかりとターゲティングをした上で発信できるのもSNSの特徴です。

しかしファンマーケティングにおけるSNSの重要な強みはそれだけでなく、「ファンと直接対話できる」という点にもあります。企業とファンとの対話は双方の距離を縮め、ファンの商品やサービスへの愛着をより強固にするのです。

さらにファンと対話したりリアルな声を取集・分析することは、商品やサービスのブラッシュアップにもつながります。ファンからのフィードバックを直接受け取れるのも、SNSならではの特徴です。

このように、SNSの「双方向コミュニケーション」という他のメディアにはない特徴が、ファンの愛着の醸成や、ファンのニーズを満たした商品やサービスの開発につながっているのです。

まとめ

ファンマーケティングは、中長期的な売り上げを築くというビジネスの面から、そして情報が氾濫している時代における他社との差別化という面から、有効なマーケティング手法だということをお分かりいただけたかと思います。

ただし「ファン」という概念自体は昔から存在しており、最近になって急に出てきたものではありません。それを「マーケティング」の形に昇華し、自社の商品・サービスを広める手段にしていくためには、やはりSNSをどう活用していくかの視点が欠かせないでしょう。

ファンマーケティングと一口に言ってもその切り口はさまざまで、SNS隆盛後から現在の短い期間の中でもその手法には変遷がみられます。広告臭のない生活者視点の発信という点を前提にしながらも、世間一般への影響力が高い「インフルエンサー」から、より自社への愛着を重視した「アンバサダー」に切り換えてファンマーケティングを推進する企業も増えてきています。

次回はそんな「アンバサダー」に注目し、アンバサダーマーケティングの目的や手法を解説していきます!

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