こんにちは!マインドファクトリー、ディレクターの中西です。
オンラインでのやりとりが日常になり、在宅ワークはもちろん、フリーランスの方に外注してオンラインで仕事を進める機会も増えています。業務委託を依頼する中でこんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
「作業用のアサイン資料を送っているのに、リクエスト通りの成果物があがってこない」
「資料内の情報が見落とされがち」
「意図が伝わらずに何度もやりとりすることになり、時間や工数がとられる」
事前に打ち合わせを実施したにもかかわらず、こういった事態が起こることは少なくありません。このような問題は、直接会っていればすぐに解決できるものですが、テキストベースになると大幅に時間がとられることもあります。
今回は、デジタルマーケティングで使用する「UI・UX」という考え方を用いて、相手に伝わりやすいアサイン資料作りのポイントと、その工程の5ステップをご紹介します。現役のディレクター・ライターが肌身をもって感じている、重要なポイントやノウハウをギュッと詰めこみました!ディレクター陣はもちろん、プロジェクトを進行するリーダーや管理職、社内資料や企画書の作成をする方などにもご活用いただける内容です。
ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はアドビ社のPR企画「みんなの資料作成」に参加して執筆しています。
目次
伝わる資料と伝わらない資料の大きな違い
事前にアサイン資料を作成して、きちんと手順などを記載したにもかかわらず伝わっていないと悲しいですよね。実は相手に伝わる資料と伝わらない資料の違いは2つあります。
1つは、読んでいて苦にならないことです。仕事の資料を「楽しいから読み進められちゃった!」なんて人は、きっとあまりいませんよね。だからこそ、「読んでいて苦にならない」というのはアサイン資料作成においてかなり大きなポイントです。
2つ目の違いは、目的やタスクが明確なことです。オンラインミーディングなどを実施して資料を展開したにもかかわらず、意図した内容が返ってこない場合、受け手が資料の中から「やるべきこと」を読み取れていない可能性があります。
そこを共有しないまま進めることで依頼側と受け手側のミスマッチが起き、その結果、やってもらいたいことが伝わらないという事態が生じてしまうのです。
誰が見ても分かりやすく、スムーズに仕事が進む資料のポイント
アサイン資料を送るだけ・オンラインミーティングを開催するだけでは、依頼側と受け手側のミスマッチを防ぐことは困難です。そのためには、「誰が見ても分かる」資料を作ることが大切です。分かりやすいとは、「相手に伝わる」ということ。そして読まれるというのは、「読んでいて苦にならない」こと。
この2点をクリアにしたアサイン資料作成の鍵となるのが、デジタル領域で使用されている「UI」と「UX」という概念です。
UI(ユーザーインターフェース)とは
UIは「User Interface」の略で、WebサイトやアプリケーションなどのWebサービスと利用者を繋ぐものです。ユーザーが操作する画面上に映るもの全てがUIとして認識されます。さらにマウスやキーボードなどの外部操作装置やタッチパネルもUIに含まれます。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは
UXとは「User Experience」の略で、WebサイトやアプリケーションなどのWebサービスの利用によって得られるユーザー体験のことです。ユーザーがストレスなく画面上で行動できるようにサポートします。Web上では、少しでも分かりづらい箇所があると離脱されてしまう傾向にあるため、離脱せずコンバージョン(意図した結果)に辿り着けるようしっかりと導線を作ります。
UIとUXがWeb上で重要視される理由は、ユーザーの満足度に大きく関わり、サービスや商品の利用率に影響するためです。優れたUI・UXとはユーザーが考えずに操作できるもの。画面を見るだけで操作方法が分かったり、欲しい情報にアクセスできるものが当てはまります。
このUI・UXの考えをアサイン資料にも適用することが、誰が見ても分かりやすい資料作りを行うための最大のポイントです。
UI・UXを取り入れたアサイン資料作りの5ステップ
さて、ここからは「誰が見ても分かる」、相手に伝わるUI・UXを取り入れたアサイン資料作りの5ステップをご紹介します。ポイントを押さえた5ステップを踏めば、相手に伝わる資料作りができるようになりますよ!
1. 読み手を最優先に考える
UI・UXにおいては徹底的にユーザーに寄り添う「ユーザーファースト」の視点が最重要となります。ユーザーファーストなアサイン資料を作るには、以下のポイントを意識しましょう。
- 資料の流れを意識する
- 余計な情報は入れない
- デザインを優先しすぎない
「これくらいやっているよ」と思われるかもしれませんが、一度過去に作成した資料を振り返ってみましょう。例えば、「(⚫︎ページに記載・別紙参照)」などと書いて、ページをあちこち回る資料を作ったことはないでしょうか。
また、伝えたいことを詳細に記載しすぎて、知らず知らずのうちに分かりづらくなっていることもあります。
それに加えて、デザインへの配慮も重要です。背景に色や画像を使用したり、見出しごとに色を変えたりした資料もありますが、アサイン資料の場合、白背景にしておくことをオススメします。なぜなら、相手が印刷して使用することを考えると、白背景の方が見やすくインクの節約にもなるからです。特にアサイン資料はボリュームが多いため白黒印刷されることが多く、せっかく色を使っても、結局どこが大切なのか分かりづらくなってしまいます。使用する色はもちろん、太字・ラインなどの要素を絞っておくと、パッと見て分かりやすい資料にまとまります。
この最初のステップを見直すだけでも「誰が見ても分かりやすい」資料にぐっと近づけることができます。
2. 目的と内容をはっきりと示す
次に、何のための資料なのかをはっきりと、分かりやすく示すことが重要です。どんな目的で、どんな内容が書いてあるのか、いつのデータなのか分からないと、いくら丁寧に書いてあっても冒頭や途中で読まれなくなってしまいます。
UI・UXでは、これを「離脱」と言います。Webサイトを訪れたユーザーが目的に合わないページだと判断し、途中で見るのをやめてしまうのです。本当に目的と違う内容だった場合だけでなく、目的に合致する内容が書いてあっても、それが分かりづらいために「欲しい情報がない」と判断され、離脱につながってしまうこともあります。
そうならないためには目的をはっきりと記載すること、そしてその内容が目的と合致していることが大切です。
■資料のファイル名を意識してつける
案外適当につけてしまいがちな資料の保存名も重要です。資料の一番最初につけた見出しをファイル名にしていませんか?
特にメールや業務用チャットなどオンライン上でデータをやりとりする場合、一度に様々な資料を送ると、相手にとっては探す手間が増えてしまいます。。結局どの資料に何が記載されているか分からず、気づいたらたくさんの資料を開いて、タブがいっぱいになっているかもしれません。この時点で読み手は資料をあちこち回っているのでとても手間ですよね。
だからこそ、ファイル名と内容が一致していることはとても重要です。
また、資料を1つにまとめることは悪くはありませんが、あまりにもデータ容量が大きくなるとデータ自体を開くのが大変になってしまうこともあります。そのため、説明・実行・確認など、作業項目ごとに資料を分けてタイトルをつけることもいいでしょう。
見てもらいたい順番や、行動してもらいたい順番でタイトルや見出しに番号をつけておくと、分かりやすく、無駄なファイルを開いておく必要がないためスムーズに作業を進めやすくなります。
■見出しをつける
資料の中の見出しも重要です。どのようなことが書いてあるのか、パッと見て分かるように最初に記載しましょう。UI・UXの考えでは、人は膨大なWebサイトからこのページを読む必要があるかどうか、見出しを見て判断しているとされています。
何より、アサイン資料で見出しをつけると、資料全体にメリハリが出て、ひと目で欲しい情報が探せるようになります。必要な情報だと認識してもらえると、よりきちんと内容を読んでもらいやすくなります。
3. 指示を明確に、分かりやすくする
アサイン資料では、どこに・どんなものを・どのようにするのか、明確に記載をする必要があります。しかしそれは1ヶ所ではなく、数ヶ所に記載することがオススメです。
くどいと感じるかもしれませんが、UI・UXを意識したWebコンテンツでは、コンバージョンを獲得できる可能性が高い場所(コンバージョンエリア)にその導線をいくつも設置します。コンバージョンとは、Webコンテンツ上でのゴールです。お問い合わせや商品の購入などがコンバージョンにあたり、できるだけ多くのコンバージョンを獲得できるようにします。
アサイン資料においてもその流れを意識して作ると、資料の意図が伝わりやすくなります。相手に覚えてもらいたいことや大事なことは何度も繰り返し伝えるように、必ずやってもらいたい指示は何度も繰り返し伝えると効果的です。しかし、指示をどこに入れるかによっても資料の読みやすさが変わってきます。全体の流れを妨げない場所に指示を設置するように注意してください。
■例:アサイン資料内に指示を入れる場所
- 説明の後に指示を入れる
- 指示をまとめた資料の後に、目的やタスクの資料の完成イメージを入れる
- 資料の一番最後に入れる
アサイン資料の中に指示や完成イメージを入れておくと、あちこち資料を見に行かなくてもよくなり、自分で考える必要がなくなります。すると1つの資料に集中して目を通してくれるため、必然的に完成イメージまで伝えることができます。明確で伝わりやすい指示は、資料に一度目を通しただけで「分かる」ものです。
4. 画像・記号・色などを使う
Webサイトではテキストとイラスト・画像を効果的に組み合わせて、ユーザー理解を促します。アサイン資料の場合も、できるだけテキストだけで完結しないようにすると読みやすくなります。資料は読んでいて苦にならない以前に、目に留まる見栄えであることも重要です。では、具体的に見やすい資料にするためにはどのようなことに気をつけるとよいのか解説します。
■画像・図・イラスト・表
文章に関連する画像やイラストを入れると、読むよりも早く視覚的に理解でき、分かりやすい資料になります。
手順などを説明する文章の場合、キャプチャ画像やイラストを入れて説明すると分かりやすくなります。
データを用いた資料の場合、図やグラフを入れる方が文章で説明するよりも視覚的で分かりやすくなるため、積極的に使用するようにしましょう。この時、色合いも資料全体で統一すると綺麗にまとまります。
■記号
文章だけでなく、「・」や「①」などを利用して、羅列して見せるようにします。枠で囲んだりするのも効果的です。
■色
大事なところは文字色を変えたり、ラインを引くなど、色を使い分けて見やすい資料にします。しかし、色が多くなるとどれが大切なのか分かりづらくなってしまうため、1つの資料では5色程度の使用にすることがオススメです。
しかし資料の場合は同系色だけだとメリハリが出ないため、カラーチャートなどで綺麗な色の組み合わせを調べてみるのも良いでしょう。「Adobe Express」というアドビが提供している無料デザインツールなどで簡単に見つけることができます。
5. 資料の情報をまとめて、スケジュールをつける
最後のステップは資料の情報をまとめることです。タイトルなどを見てデータを開いても、アサイン資料はボリュームが大きくなりやすいため、何が記載されているのか一覧でわかるページを作ると、読み手が迷子になりにくく、分かりやすい資料になります。
■目次
目次には見たい情報にすぐにアクセスできたり、全体の流れを把握できたりといった役割があります。UI・UXでは、サイトマップがこれにあたりますが、近年のWebサイトデザインではヘッダー・フッターが目次の役割をしています。
■最後のまとめ
最後のページに総括としてまとめを付けるだけでなく、不明点などがあった場合の問い合わせ先を載せておくのも良いでしょう。
■スケジュール
アサイン資料にスケジュールを入れておくと、スケジュール管理がよりスムーズになります。特に工程が複数ある場合、一つがストップするとその後のスケジュールが大きく変わります。指示と同じく、スケジュールを何度も伝えておくことも重要です。
なお、スケジュール管理が必要ない場合、こちらはなくても問題ありません。
資料まとめ・更新に『Adobe Acrobat オンラインツール』がオススメ
アサイン資料を使用していくうちに、修正点や追加で記載した方がいい情報が出てくることがあります。しかし、PDFで管理することが多い資料では、少しの情報の修正や更新が書き換えられず困った経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。そんな時に便利なのが、『Adobe Acrobat オンラインツール』です。
■『Adobe Acrobat オンラインツール』で使用できるオススメの機能
- ページの追加、削除
- 複数のPDFを1つにまとめる
- PDFをPPT(パワーポイント)へ変換
- コメントを入れて意見のやりとりができる「PDFを編集」機能
特に元データが手元にないときに、PDFをPPTに変換して修正できるというのが便利だなと思います。また、「PDFを編集」機能も弊社ではよく使用します。返送されてきた成果物に修正を加えたい場合、修正内容のボリュームにかかわらず、画像やテキストなどに的確に指示をすることができます。
『Adobe Acrobat オンラインツール』には、今回紹介した方法の他にもPDFに関する様々な機能があります。資料作成などでPDFをよく扱う方は、ぜひ試してみてください。回数制限はありますが、基本的に無料で様々な機能に触れることができるので、まずは気軽にお試しで使ってみてはいかがでしょうか。
はじめてのAdobe Acrobat オンラインツール完全ガイド(概略版)
UI・UXの指標はどんな資料にも応用可能!
今回は、「アサイン資料」を例に記事を書きましたが、ここで紹介したUI・UXの考え方はどんな資料作成にも応用でき、この考え方を用いれば、誰でも分かりやすい資料を作成できるようになります。紹介した5ステップのうち1つでも実践していただければ、より分かりやすく見ていて苦にならない資料になるはずです。
ぜひ参考にして、今後の資料作りに活かしてくださいね!